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〜不可解〜 01
「弥子ちゃん」
学校からいつもの場所にまっすぐ向かう少女に呼びかけられた、名。
「あっ、笹塚さん!!」
返された、彼の名。
彼は、ガラにもなく待ち伏せをしていた。
少女の顔を見たくて、しかし少女が放課後常に居る場所では都合が悪くて。
「どーしたんですか?こんなトコで」
弥子は、子供のように問う。
―これだけ見ると、このコが世界を救っただなんて、到底信じらんねー、よな…―
彼は思い、おもむろに手にさげた無骨なビニール袋を差し出した。
「…ハイ、こないだ言った差し入れ。弥子ちゃんの大好物」
少女は目を輝かせた。
「あっ!!わざわざそのために待っててくれてたんですかっ?
うわぁ嬉しい!!
笹塚さん大好き!!」
思わぬ言葉に、彼は衝撃を受けた。
弥子がまだ子供である証拠であるのは、重々わかりつつも…嬉しくないわけがないのだ。
「…別に、これ渡すだけじゃねーんだけど…ね。そんなに喜んでくれて、俺も嬉しいよ」
彼ははにかみながら、言う。尤も、表情からは伺い知れないのだが。
「そーなんですか?仕事の話なら、事務所これから行くんで、一緒に行きましょうよ」
彼は困った。
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