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〜吾代受難再び〜 07

「だぁからっ!
 マジで勘弁してくれよっ!

 そんなに知りたきゃ、探偵に直に訊きゃーいーだけの話じゃねーか!!」

 俺はヘキエキして化け物に叫ぶ。


 それでも、化け物は懲りやしねぇ。

「…教えてくれないのか?
 何故だ?貴様は知っているのだろう?我が輩はただ知りたいだけなのだぞ……」


 ……その口調に変わった途端に、命の危険を感じた。

 もー、マジでいー加減にしてほしいぜ。






 探偵に帰られ、秘書にも見捨てられ取り残されて、果たしてどんなドSな虐待が待ってるのかと思ってたら、化け物からの質問責めを喰らった俺。


 それだけでもヘキエキさせられんのに。
 化け物はそんなつもりはねーかもしれねー。いや、正確には解っててやってやがんのか、素で解ってねーのかが俺には判らねーだけだ。

 コノヤローの話す質問の内容は、どー転んでも…
 俺には答えるのがこっ恥ずかしいレンアイ相談としか思えねー上、ノロケとしか聞こえねーのが厄介なんだ。

 テキトーには聞こえねー程度にテキトーに答えてやってっけどよ、あんまり矢継ぎ早だと、相手が相手なだけに、俺は答えようがねーっつーの!!


 中でも、ついさっき化け物が口にした、

「好ましく思いながら我が輩を第一にせず、ないがしろにすら出来る言動はどういった心理からなのだ?」

 …ちゅー質問には、ノロケやら独占欲やら意外な無知ぶりやら何やらがごちゃごちゃしてて、俺は答えるのもバカらしくなってきやがった!

 だけど命には換えられねぇんだよな…


「…要するにアレだ。
 恋だと何も見えなくなることもあっけど、広い意味の…
 えっと…何つったっけ…」
「…普遍的か…?」
 化け物は即座に答える。そーゆーことは詳しいのな、この化け物。

「そーそー、いわゆる『愛』ってのは、その『普遍的』なモンだろ?
 探偵のテメーへの気持ちがそーゆーモンなら、視点が、こー一直線にはなんなくて、いろんなことがよく見えてんじゃね?

 アイツは何があってもテメーんとこに戻ってくんじゃねーかよ。第一、アイツは探偵だろーが。いろんなことがよく見えるのはいいことじゃねーか。
 あんま欲張るのは…」
「…つまらん…
 貴様もアカネと似たようなことを言うのか…」
「つまらんって何だよ!!
 …つーか、こんなこっ恥ずかしいこと俺に言わせんじゃねーよ…!!
 テメーにはもの足りないんだろーがよ、それはぜーたくってモンだぜ」
「何故だ。
 奴隷ならば奴隷らしく、主人である我が輩を唯一無二にすべきであろうに…」

 …バカバカし…

 本気で言ってんのかどーかもわかんねーが、この化け物なりの理屈や価値観で、探偵の態度の何かが理解出来ねーってのは本当なんだろーな。


「探偵もあんま自覚はしてねーかもしんねーがよ!テメーの言ってる限りの探偵は……!

 あーもー面倒臭ぇ!

 よーするに、手っ取り早く、わかりやすくいうと、テメーは探偵に愛されてんだよ…!
 それらしーこと言われたか何かしてんだろ?どーせ。
 テメーがそれをわかってなくて、それ以上を望んでんのが俺はぜーたくだっつってんだよ!!

 …俺にこんなことまで言わせんじゃねーよっっ…!!」

 化け物は目を丸くして、ようやく黙った。



 あぁ、あぁ……

 いつもの虐待喰らってた方がナンボかいいかしれねぇよ。

 これで俺ぁ、確実に眉間のシワが深くなったな。
 何が楽しくて、化け物の半ばノロケ話のレンアイ相談なんざ聞かなきゃなんねーんだっつーの…!!





 ただ、意外な収穫はあった。







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あきゅろす。
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