main storyⅠ
～惜しむ者もう一人～ 14
「…実に残念なことだな…」
しみじみと仰るネウロ様の言葉に、弥子ちゃんは目を丸くして、呟きました。
「残念…」
「そう、残念」
「ざ…」
言葉が、途切れます。
私の方からは、弥子ちゃんの表情が見えなくなりました。
寄せられたネウロ様の頭に隠されて…
ネウロ様って、甘い雰囲気を意識的に作れるんですね。
…なんて思うのは、失礼かしら…
…うわ、何だか見てる私の方が恥ずかしい！
でも、こんな光景が見られるのは、やっぱり嬉しい…！
少しして、
「ヤコも、上手い具合に人をたきつけ惑わせるのだな…」
そんな、囁き声が聞こえました。
「？」
「我が輩の上着の傍にあった貴様のリボンを、さり気なく上着に紛れ込ませ隠す仕草…
あれの傍にリボンがあったことを認識した者が見たならば、どう思うか想像出来るか…？」
「………」
弥子ちゃんは更に真っ赤になってしまいます。
クスクスとお笑いになり、
「ヤコにそのつもりはなかったろうがな。隠すということは隠さねばならん何かがあったと言っているのと同じであろう。
…我が輩には好都合だったがな。流石は我が奴隷」
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