[携帯モード] [URL送信]

main storyT
〜ネウロ逡巡〜 11

「あだだだ…ネウロはどーみたって…あ…すいませんすいません!!…痛っ!!」

「魔力の位置付けなど、使う者と結果次第だ。
 我が輩のしたことを、貴様が『善』と思うならば、それはそれでいいのであろう」

 ヤコは感心するようにこちらを見上げ覗き込む。まことに単純な小娘だ。


「さ、事務所に帰るとするぞ。グズグズするな」

「あ…待ってネウロ」
「…何だ」

 呼び止められ、歩を止め振り返ると、まだ満ち切らぬ月を背にした、ヤコ。
 腕を背に組み、半眼、口元に薄い笑み…恐らくこれは、はにかみ?…を浮かべ、

「ありがと、ネウロ」

 それだけ、言う。

 月明かりに浮かぶヤコの姿が妙にまぶしく思えた。

 我が輩はつとめて見て見ぬふりをした。そのようなことは思ってはいないと己を叱咤した。

 そうでもしないと……


 歩きながら、
「当然だ」
 …今最も、我が輩らしいと思われる台詞を、口にする。


 だが我が輩にもわからぬ…
 何が当然、なのか……
 ヤコをいたわることか?
 ヤコの感謝のことばか?

 わからないが…


―ありがと、ネウロ―

 ヤコの声音も相俟り、悪くないことばでは、あった……



.

[*前P][次P#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!