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〜ネウロ逡巡〜 11
「あだだだ…ネウロはどーみたって…あ…すいませんすいません!!…痛っ!!」
「魔力の位置付けなど、使う者と結果次第だ。
我が輩のしたことを、貴様が『善』と思うならば、それはそれでいいのであろう」
ヤコは感心するようにこちらを見上げ覗き込む。まことに単純な小娘だ。
「さ、事務所に帰るとするぞ。グズグズするな」
「あ…待ってネウロ」
「…何だ」
呼び止められ、歩を止め振り返ると、まだ満ち切らぬ月を背にした、ヤコ。
腕を背に組み、半眼、口元に薄い笑み…恐らくこれは、はにかみ?…を浮かべ、
「ありがと、ネウロ」
それだけ、言う。
月明かりに浮かぶヤコの姿が妙にまぶしく思えた。
我が輩はつとめて見て見ぬふりをした。そのようなことは思ってはいないと己を叱咤した。
そうでもしないと……
歩きながら、
「当然だ」
…今最も、我が輩らしいと思われる台詞を、口にする。
だが我が輩にもわからぬ…
何が当然、なのか……
ヤコをいたわることか?
ヤコの感謝のことばか?
わからないが…
―ありがと、ネウロ―
ヤコの声音も相俟り、悪くないことばでは、あった……
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