main storyT
〜惜しむ者もう一人〜 05
リボンをジャケットに紛れ込ませたまま綺麗に整えて、ソファの背もたれに掛けます。
…何だか、若奥様みたいな光景だこと…
普段は表情を隠せない弥子ちゃんにしてはすごく珍しく、本当にさり気ない動作でした。ちょっと瞳は泳いでましたが。
テーブルの上の、2人がいちゃいちゃしていた時の『名残』がそのままだったことに、弥子ちゃんが気付かない筈がないですね。気付くのが遅かった気はしますけど。
いつもの弥子ちゃんならわたわたすると思うんですが、さすがの弥子ちゃんも、ここで動転して訝しがられるのがイヤだったのかなぁ…イヤなんだろうなぁ…
弥子ちゃんは刑事さん達に向かい合ってソファに座り、ネウロ様は背もたれを隔てた後ろに立ちます。
事務所内における接客のいつもの定位置です。
そんな弥子ちゃん達を笹塚刑事さんはじっと見ていました。
笹塚刑事さんは既に何かに気付いているようなので、弥子ちゃんがどんなにさり気なく振る舞っても、あくまで気休めみたいなものになってしまうのでしょうが、少なくともご一緒の刑事さんは何も気付いていないようでしたので、弥子ちゃんも大人になったんだなぁ…と、私は思いました。
.
[*前P][次P#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!