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〜ネウロ逡巡〜 10
さすがに興を削がれてしまったので、
「重くてかなわん。いいかげん降りたらどうだ」
ひょいとヤコを地に下ろす。
「重いとは失敬な…あ、ちょ、待って。足…!!
…え…足……?」
いきなり下ろされて、ヤコは襲う痛みを覚悟するような、妙な顔をし、慌ててもいた。
が、いざ地面に足をつき、先ほどまで痛んでいたのが今や何ともないことに漸く気付き、今度はそれに慌てている。
忙しい奴だ。
上目遣いで、
「あの…もしかして、ネウロ、が…?」
我が輩はヤコの頭に手をやって、かき回す。
「こんなことの出来る者が他にいるか」
「…………」
当然といえばいえるのであろうが、ヤコには意外な行動であったらしい。
…我が輩自身意外と思うしかないのだが…
先ほどまで痛んでいた足首を見、ひねったり歩き回ったりして現況確認をし出し、しばし時間を喰った。
そして、ポツリとこぼす。
「ネウロにも、そゆコト、出来たんだ」
……まことに失敬な言いぐさではないか。
しかし、スカスカの脳みそ持ちの生物の思考では、さもあろうか。
我が輩は溜め息をつきつつ、ヤコの耳を引っ張りつつ、
「『魔力』はあくまで、『魔』だ。そこに『善』も『悪』もない」
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