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〜そして助手は苦笑い〜 20

 まっさらなものを染めてゆくというのは…

 その行為も
 その過程も
 その結果をふと実感する瞬間も…

 良いものなのだな……



 思いつつ、からだの線に添い伝い下ろした掌で、シャツ越しに腰から背中を殊更にゆるゆると撫でさすり彷徨わせる。
 シャツを隔てていても、微かに震えているのが、わかる。

 感覚というより、感情からくる震えなのかもしれない。
 どちらであろうが、我が輩に対する反応なのだから、同じこと。


 シャツの裾から手を差し入れて背中に直に触れると、ヤコが少しからだを仰け反らせた。

 少々不安定で、半ば支えてやらねばならない上に、固く握り締められたままの襟が煩わしいが、仕方がないのであろうか…

 腰を抱え上げ、ヤコを膝で立たせる。ヤコが愕いてとっさに顔を離す。
 そして交差した視線は、同じ高さ。

 ヤコはまた顔を赤くしたが、腹を決めたのか…決めてもらわねば厄介なだけだが…襟を握り締めていた手を離し、我が輩の首へと回す。

 こつん、と額を軽くぶつけてきた。


 自分から口付ける度胸は、まだないらしい。

 不満要素になりうる…が、同時に可愛げも感じるので、別に構わん…か。




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