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〜そして助手は苦笑い〜 14
そして、当然のことながら、その方が我が輩にとって、非常に好ましい。
…時と場合にもよるのであろうが。
離す前に唇をひと舐めしてやると、ヤコは瞳を見開き、解放するや否や我が輩の胸に顔を埋めてしまった。
…そんなにも恥ずかしい行為なのか…?
何やらむず痒い心地になるではないか。
少々の沈黙の後、
「叶絵がね……」
胸に頭を預けたまま、唐突にヤコは、先程まで一緒にいた友人の女の名を口にする。
「…何だ」
少々拍子抜けさせられたが、聞いてやっても良いか…
「…助手さんにも…あんたにもよろしく伝えといてって。今日はありがとうございます…って言ってたんだ…
あたしには、叶絵が何でそんなこと言うのかわかんないんだけど。叶絵はネウロに会ったことないしね…」
「………」
我が輩は恐らく今、相好を崩してでもいようか……
ヤコの友人の女は、理解しているのだ…
ヤコが何も語らないのだとしても、ヤコを見て、感じたのであろう。
我々の関係を。
この女が、我が輩のものであるという、事実、を。
例えそれが漠然とした想像であるとしても……
「そのことか」
「……何?」
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