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〜そして助手は苦笑い〜 10

 一度はヤコに荷担し、我が輩を煩わせたアカネであったが、今は、細く長い三つ編みをふらふら彷徨わせ、成り行きに戸惑っている様子。

 アカネは我が輩とヤコのどちらの味方でもあると以前云っていたのだから、一時的にヤコの側に立ったものの、今度は我が輩を見て困り果てているのであろう。忠実なる秘書らしい困惑では、ある。

 秘書を困らせ、まだまだ子供…餓鬼だと言われても、ヤコには反論の仕様も無かろうに…

 尤も、我が輩もひとのことは言えなかろうが……


 沈黙が続く中、ヤコに貼り付いたままのアカネが、やおらペンを持ち、手近な紙に何か書き流した。

 こちらからは何を書いた…ヤコに伝えたのかは、ヤコの背中に隠れ、伺えん。

「…うん、うん…
 わかってるよ…」
 小さく呟くヤコ。

 その途端に、ヤコの髪が瞬時に元に戻り、アカネはテーブルに放ってある携帯へと。

 …何を云ったのやら…勿論後で確認してやるが…
 本当に、アカネには随分と素直に従うものだ…

 ヤコが手をのばし携帯を取ろうとするより早く、我が輩は腕をのばし、携帯を取り上げる。

 見上げるヤコに言う。
「…あまり人に甘えていてはいけませんね」



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