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〜そして助手は苦笑い〜 08
壁掛け時計の秒針を刻む音が煩わしい……
ヤコ…それとアカネ…は、ソファに場を移し膝を抱えている。
トロイに戻った我が輩は、しばらくパソコンと向き合っていたが、特別急ぎの用向きがある訳でもない。いい加減飽き飽きし、仕方なしにヤコを見、呼び掛けてやる。
「ヤコ」
「……」
「ヤコ」
「………」
「…いつまでふてくされているつもりなのだ」
「ふてくされてなんかないよ」
ヤコは素っ気なく答える。
美しい髪が、遠慮がちに揺れている。
我が輩は再び溜息をひとつ漏らす。
「…ならば何故いつまでもアカネと合体しているのだ」
「合体してたいから」
…取り付く島もない。
我が輩は、思わず知らず、溜息を…
何ともまぁ、あのような下らんとしか思えんきっかけで、ここまでするものなのか……
だが我が輩、ヤコがアカネと合体し、いわゆる『弥かね』となられてしまっては、どうにもお手上げである。
ヤコはあくまでヤコであるのだが、こうなってしまっては…触れることが出来ないのだ…
我が輩にとって、ヤコと『弥かね』は似て非なる存在なのだ。
アカネが混じっているものに、そのような欲を抱けない…といった方が近いといえるのか。
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