[携帯モード] [URL送信]

main storyT
〜そして助手は苦笑い〜 06

 どうも我が輩はヤコを怒らせてしまったようであるが、そもそも我が輩の好意からくる親切心を、猜疑心から撥ねのけたのはヤコではないか。
 その上、宿題の間中我が輩の存在を完全に無視し、漸く終わったものと、ちょっかいを出しはじめた途端に、売り言葉に買い言葉、過去のことまでほじくり返して癇癪を起こすのは、ヤコの方こそ理不尽であると思うのだが…


「…まぁ、ヤコがそこまでいうのならば、もう言わんが…
 すぐに癇癪を起こすなぞ、子供のようだぞ」

 トロイに座るヤコを背後から覗き込み言ってやれば、我が輩に対する、ヤコの放つものとは性質の異なる、やや攻撃的な念を受け取った。
 チリチリとした、本当に微かなそれが、くねくね動いているアカネから発せられていると知るのは、さほどの時はかからなかった。

「子供で悪ぅございました!
 あんたから見たら、人類全てが子供のよーなもんでしょ!!
 あんたはせいぜい、そーやって、いつでも人間を下に見てりゃいいのよっ」
 ますます子供じみた言いぐさで拗ねる様子が面白くもある。

 …が、これでは下らんことこの上ないやりとりの域を出そうもなく、埒があかないではないか。



.

[*前P][次P#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!