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〜そして助手は苦笑い〜 06
どうも我が輩はヤコを怒らせてしまったようであるが、そもそも我が輩の好意からくる親切心を、猜疑心から撥ねのけたのはヤコではないか。
その上、宿題の間中我が輩の存在を完全に無視し、漸く終わったものと、ちょっかいを出しはじめた途端に、売り言葉に買い言葉、過去のことまでほじくり返して癇癪を起こすのは、ヤコの方こそ理不尽であると思うのだが…
「…まぁ、ヤコがそこまでいうのならば、もう言わんが…
すぐに癇癪を起こすなぞ、子供のようだぞ」
トロイに座るヤコを背後から覗き込み言ってやれば、我が輩に対する、ヤコの放つものとは性質の異なる、やや攻撃的な念を受け取った。
チリチリとした、本当に微かなそれが、くねくね動いているアカネから発せられていると知るのは、さほどの時はかからなかった。
「子供で悪ぅございました!
あんたから見たら、人類全てが子供のよーなもんでしょ!!
あんたはせいぜい、そーやって、いつでも人間を下に見てりゃいいのよっ」
ますます子供じみた言いぐさで拗ねる様子が面白くもある。
…が、これでは下らんことこの上ないやりとりの域を出そうもなく、埒があかないではないか。
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