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〜そして助手は苦笑い〜 03
ふと何かの意識を感じ、アカネの方を見る。
アカネが何杯目かのカフェオレを前にしていた。先程もそうであったが、ヤコに知らせ取りに来させるのであろう。我が輩が急にそちらを見たので、アカネは少々戸惑っているようであった。
我が輩はアカネの方に歩み寄り、グラスを取り上げる。
「………」
一言二言、アカネに指示を与え、グラスを持ちヤコの元へ。
何も言わぬまま、空のグラスと新しいグラスを交換してやると、ヤコはあからさまに驚く。
「あ…ありが、と」
一応礼には違いないが、こちらにとっては不本意な風情の反応だ…
我が輩の行動が、そんなにも意外であるとでもいうのか?
ヤコが視線を戻すと、コンパクトサイズのアカネが、ぴょこりとノートから存在を誇示していた。
「…うわ!びっくりしたよあかねちゃん!」
アカネはシャープペンシルを持ち、停滞気味の計算式に解説を添える。
『これはこうじゃなくて、こことここの数字を移して計算しないと…』
「あ、そうか!」
『ほら、こうすると先に進むでしょ?あとはこの公式をあてはめて…』
「うん、うん…」
…相手がアカネだと、随分と素直ではないか…
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