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〜ネウロ逡巡〜 07
そして、無数の木の葉と共に舞い落ちてくる。
我が輩は身を翻し、真っ正面から受け止める。
ひどく、軽い。
瞳が、目の前にあった。
互いの鼻が、微かに触れた。
「いつまでご主人である我が輩の背中で寝ている」
「いいぃ…いったぁ〜い…て、あれ?私寝てた?
ご、ごめん…気持ちよくてつい…」
ヤコの思わぬことばに、我が輩二の句を継げなかった。
「だって、広くてあったかいんだもん」
「………」
無邪気とは怖ろしい。
うっかりすると、引き込まれてしまう。
見れば、ヤコの瞳に、木漏れ日ならぬ木漏れ月が、星を散らしたように瞬いていた。そこに重ねて映る、我が輩の姿。
真っ直ぐこちらを見やる、腕の中の、女………
吸い込まれそうになるのを堪え平静を装うのに、どれだけの労力を必要とするだろう。
あぁ、だがしかし……
しばしこの…今いっときの波に揺られてみてもいいのではなかろうか……?
そう思い直し、ヤコを抱える腕を片手に支え直し、空いた片手で…
髪を、耳を、頬を、撫でた。
そして、唇…
「……ネウロ……?」
聞いたこともない声音で、ヤコが呟く。
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