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〜そして助手は苦笑い〜 01

「…はい…はい。
 それでは、明日午前9時に先生と僕がお宅に向かいまして、詳しいお話をお伺いするということで宜しいでしょうか?
 …では、そういうことでお願いいたします。
 …はい、それでは明日…」

 先程見つけた、『謎』の気配を孕んだ手紙の送り主に我が輩は連絡を取る。
 せいぜい丁重に受け答えするのはいつものこと。そこから食事の糸口を掴むのだから、苦になる訳はないが、些かの気苦労は否定出来ないものだ。

 交渉を終え電話を切り、充電器に戻し、トロイの方を振り返る。
 我が輩の常の居場所には、今はヤコが座り、テキストを前にこめかみに拳骨をあて、何やら唸っていた。

『ここで宿題をするとはかどるんだから!』
 …と言って、我が輩を追い出した割には、随分と苦戦しているようではないか。

「…どうした。どこか解らないのか?教えてやってもいいぞ」
 ヤコの斜後ろに立ち、テキストを覗き込むと、案の定数学に苦労しているようであった。

「けっこーです!あんたの力借りると、見返りが恐いし。ジャマしなければそれでいいよ」

 ヤコはこちらをちらとも見ずに我が輩の好意を呆気なく却下した上、生意気なことを宣う。



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