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〜秘書の助手観察記〜 02

 どうもメール受信音のようですが、『天城越え』なんて…どんな選曲なんですか?
 ネウロ様が日常的にメールのやりとりするのは1人だけなんですから、メールの相手は弥子ちゃんに違いなくて
 …弥子ちゃんからのメールは滅多にないから、これまで私メール受信音を知らなかったんですがね…

 あの湿っぽい色めいた歌詞のどこかがネウロ様の本音だと思っちゃっていいんですか…?


 ともあれ、ネウロ様は携帯の画面を一瞥し素早く返信して、
「…ヤコは“ちょっと”遅くなるそうだ。どうせ『学友』と遊んでくるのだろうが…」
 パチンと携帯を閉じて、苦々しげに仰いました。

(何だ、つまんないの)
 私は、弥子ちゃんが遅くなるとわかった途端に、考えるのをやめました。
 寄り道してくる弥子ちゃんなら、お腹いっぱい飲み食いしてくるんでしょうからね、それなら、冷たい麦茶だけで十分ですもの。


 私の事務処理も一段落して、手持ち無沙汰になった頃、ネウロ様は片肘をついて目を瞑っていらっしゃいました。


 …最近漸く解ってきたのですけど、ネウロ様は、時折不思議な『蟲』を通じて、弥子ちゃんの様子をご覧になっていらっしゃるようなんです。







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