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〜探偵の助手観察記〜 06

 あたしが付けてるのは、別にフルーツとかの香りがあるのじゃなくて、メントールなんだけどね。

「これはリップクリームだよ。唇の荒れを防ぐやつ。
 女の子のたしなみとしては当たり前…なんだけど」
 素っ気なく答えてやったら、

「これまでのヤコは、それ程頻繁にそのようなものを付けてはいなかったと思うが…今は冬ではないのだし」

 …これは、狙って言ってるのかな?ホントに判らないで言ってる、のかな?

「ネウロは鼻がいいもんね。
 気に障るなら、事務所では付けないよ」
「………」

 ワザとはぐらかして、口を拭おうとすると、手を取られた。

「…気に障るとは我が輩言っていない。
 ただな……」

 そのまま顔を寄せて、寄せられて…ネウロはあたしにキスをする……



『ただな……』

 ネウロが何を言いたかったのか、なんとなくわかる。


 乾燥する季節でも肌質でもないのに、あたしがどうしてしょっちゅうリップを塗るのか…
 その『理由』が知りたいんでしょ?

 ううん、知りたいというよりも、確信したいんだ、きっと…


 こういうときの為に、あたしは唇のケアをいっつもするようになったんだ…ってことを。



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