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〜ネウロ逡巡〜 02
恐らく全てであろうが…ヤコはあえなく足を痛めてしまったようなのだ。全くもって、鈍臭い生物である。
『あぁ先生!いくら今高校野球に燃えておられるからって、そんな止め方はあまりにはしたない…!!』
…と、いつもの如く言い繕ってみたものの、当の笹塚刑事はちゃっかり避けていて、つまらぬことこの上ない。
ヤコは大仰に、
『つ…ッ』
と眉根を寄せ、苦しそうな表情を浮かべる。
それそのものは、我が輩の望んだことではあった…
が、ヤコが笹塚刑事の差し出した手を取り、立ち上がってからは、つまらぬ上に、更に何やら不愉快になってきた。
すぐさま引き剥がして我が輩の手元に戻し、いつもの如く事件を解決し、我が輩はいつもの如く物足りない食事を済ませたのだが……
謎のない場所には最早用はないので帰ろうとすると、
『あぁ弥子ちゃん、ちょっと待ってもらえれば終わるから、俺がウチまで車で送ってくよ』
…なぞと笹塚刑事が言い出したのだ。
冗談ではない。
『それには及びませんよ笹塚刑事!
先生は我が…僕が全責任を負って事務所までお帰し致しますから…』
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