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〜明けない日はない〜 11
「たっだいま〜!」
ドアが勢いよく開き響く、底抜けに明るい弥子の声。
あかねは声を聞くなり、出迎えの言葉を書くべく、ペンを握る。
…ネウロに驚かされる弥子の反応を、密かに楽しみにしながら…
「ん…あれ、ネウロいないの?
…うわぁっと…!」
弥子の目の前に、逆さまのネウロがいきなり顔を突き出す。
「遅い」
「……ハイハイただいま。
あんたよく飽きないね…毎度毎度同じセリフ…
これでも学校終わって直で来たって、何度言わせますか」
弥子は呆れて、逆さまの魔人に嫌味を漏らす。
「どのような状況であろうと我が輩を待たせれば、それは遅い以外の何でもない」
「あーはいはい」
弥子は参ったと言うように、両手を上げた。
一連のやりとりが面白く、弥子への挨拶を書きそびれていたことに気付いたあかねは、慌てて文字を綴ろうとした次の一瞬に、思わずペンを取り落としてしまった。
…天井からぶら下がったネウロが腕をのばし、弥子の顔を上向かせ、自らの顔…唇を寄せた為に…
しかも、ごく自然な仕草で。
抵抗もせず、それを受け入れる弥子の様子に、あかねは更に驚かされた……
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