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〜明けない日はない〜 10
―そろそろ、あのモヤシは、あれを手にした頃であろうか…―
ネウロはパソコン画面を眺めながら、キーボードを打つ手を休めることなく考える。
―さて…あれを見て何を思うのやら…―
その様子を、あかねは不思議そうに見つめる。
いつものように、何を考えているのかは、判る筈もない表情なのだが、心なしか愉しそうにも、見えなくはない。
―何を思おうと思うまいと、あのモヤシの勝手であろうがな。
我が輩は表面上、助手として持ち主に落とし物を返しただけのこと…―
喉を鳴らして笑う魔人を、あかねはやはり恨めしく思う。
―今日こそは、なんとかして弥子ちゃんから話を聞かないことには済まないぞ…!―
と、息巻いていると…
ふと、キーボードを打つ音が止まる。
あかねが再びネウロの方を見ると、ネウロは顔を上げ、窓の外に視線を向けていた。
やおら立ち上がり、何事か思案している様子を見せる。
―…あ、弥子ちゃんが帰ってくるんだ。
それにしても…―
突如浮かぶ、ネウロの企み顔が、あかねにはおかしかった。
ネウロは音もなくトロイから離れ、ドアに近付くと、床を蹴った……
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