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〜明けない日はない〜 08

―前も、『か…彼女』とか言いよどんだっけ。あれは『桂木』だったんだな…―

「ただモンじゃないって…その彼女に対しての態度とか感情とかも含まれてんの?」
 笹塚は言葉を選び、慎重に問う。

「ん」

 余裕がないのか、匪口は何も気付かず、短く肯定した。


「俺さ、いちお彼女に対しては進展したんだ。あんまくわしーことは言いたくないけど」
「いや、俺も別に聞きたくはねーし」
「ん…
 だけど…その場面をさ、その『彼氏』に見られちまって…
 なんだかんだで、いろいろ思い知らされちまって…進展はしたケド、思いっきり後退した気分なんだ。
 かなわねーな…って…」

「……お前、何した?」

―弥子ちゃんに…―

 笹塚は思わず気色ばみそうになる…が…

「言いたくない。笹塚さんも、別に聞きたくないって言ったじゃん」
「…あー…」


 それきり、2人は黙り込む…



 しばらくの後、

「ホントはお前に酒でも差し入れてやりてートコだけどさ、お前未成年だし、ココ警察だしな……」
 頭を掻きつつ立ち上がり、もの憂げに呟く笹塚を、匪口は見上げる。



「笹塚さん…」
 匪口も立ち上がりながら、呼びかける。

「ん…?」








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