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〜明けない日はない〜 07
「そりゃ何だ?」
笹塚は、何気なく匪口の手のものを覗き込み…黙った。
―眼鏡…?
弥子ちゃんの事務所から、コイツに…?―
湧き上がった疑問を、安易に口にすべきではないとの判断に一瞬で至った笹塚は、
「そういやさ…」
言いつつ隣に座り、
「こないだお前が言ってたアレ…何だったっけ?
…どーなってんの?」
何気なく話題を切り替えるふりをした。
「………」
「………」
恐らく、話題自体は決して切り替えられていないのは、わかっていた。
隠しきれない溜息を幾度となく吐く匪口を見て、笹塚はようやく…
―あー…
こいつが言ってたのって、弥子ちゃんのことだったのか…
俺もたいがい、ニブいモンなんだな…―
…思い至る。
―けど、コイツにこれが届くのって、何なんだ?―
「笹塚さんさ…」
匪口が不意に口を開く。
「うん?」
「付き合ってるヤツが、いかにヤバいヤツかって、か…彼女に解らせて、引き離すのが先決だって言ったじゃん?」
「…あー…」
「…そいつが、どーにもなんないくらいただモンじゃなかったとして…」
笹塚は、ネウロの姿を思い浮かべる……
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