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〜明けない日はない〜 05
『仰る通りに書きましたけど』
あかねは遠慮がちに、報告する。
探偵事務所としては、何らかの手紙をしたためるなど決して珍しい作業ではないのに、内容といい相手といい状況といい…あかねは、何か釈然としないものを感じる。
「…ム、ご苦労。
こちらも済んだ。あとは封をして明日投函するだけだな」
ネウロは何かを丁寧に包み終えたところであった。
『それは何ですか?』
あかねは訊く。
「…匪口刑事の忘れ物だ」
答えは判りきって、つまらない一言。
『………』
あかねの不満げな意志を感じ取ったか、ネウロは、視線は自らが包んだものにあてたまま、
「先日、匪口刑事がヤコと会った折に落としたものだ。我が輩が預かっていた」
呟くように、言う。
「どうしたものかと考え倦ねていたのだがな、事務所も忙しいことであるし、郵送することにした」
―最近はそれほど忙しいわけではなかったのに…―
『それで、それは何なんでしょう?』
珍しく訊きつのるあかねに、ネウロは面倒臭そうに、
「…眼鏡だ」
と、言い捨てた。
―何だってそんなものを…
…そんなことを、何でネウロ様がなさるんだろう…?―
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