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〜明けない日はない〜 03

 匪口には、弥子の文字にはとても見えなかった。

 弥子の字を見たことはないのだが、ここまで整った綺麗な字を書くとは思えない。
 かといって『助手』の文字でもない。
 明らかな女文字であるから。

―事務所に、俺の知らない従業員でもいて、桂木の代筆でもしてるのかな…―

 気が付けば、婦警が訝しげに匪口を見ている。
 突っ立ったまま封筒を眺め考え事をしていた自分に漸く気付き、匪口は軽く礼を言い、慌てて場を離れた……




……遡ること二日前……


「アカネ、頼みがあるのだが」

 夜、いつものように弥子が帰った後、ネウロが珍しく頼み事を口にした。

 このところ、弥子が帰宅した後は不機嫌気味のあかね。
 やや遅れて頷き、
『何でしょう?』
 ボードに書く。

「手紙の代筆を頼みたい。
 送り先は警視庁の刑事。宛先と名前はこれだ」
 ネウロはメモと便箋と封筒をあかねのデスクに置いた。

 『匪口結也』という名は、弥子が何度か口にしていたと、あかねは記憶している。

「裏書きにはヤコの名前まで書くように。
 大切な手紙だから丁寧にな。
 …アカネなら心配いらんだろうが。

 文面は………」



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あきゅろす。
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