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〜明けない日はない〜 02
「何か俺に届け物があるって、ケータイに連絡きたんだけど、誰に聞けばいいの?」
匪口は婦警に尋ねる。婦警は心得ているのか、
「はいはい」
すぐさま場を離れた。
今日は笛吹からの呼び出しではない。自分宛ての小包が届いたので取りにくるようにとの連絡を受け、匪口は本庁に赴いたのだ。
送り主の名を、匪口はあえて聞かなかった。
何かを期待しているのか、ただ単に期待している時間が欲しかったのか、自分でも判然とはしないのだが。
「お待たせしました匪口刑事。これね。『壊れ物注意』ですって。
はい、確かにお渡ししましたからね」
婦警は、にこやかに小包を差し出した。
小包というより、クッション材で包んだ何かごと、厚手の大きな封筒に入れた仕様の封書だった。
受け取りながら、表書きを何気なく見る。
『…警視庁 情報犯罪課
匪口結也様』
奇妙なほど綺麗な文字で綴られた宛名。
こんな時にでも高鳴りつつあるものを感じて、密かにほくそ笑みながら、裏を見る。
『…桂木弥子魔界探偵事務所
桂木弥子』
「…………」
―桂木の字じゃ、ねーな…―
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