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〜思わぬ展開〜 13

「さて…」

 ようやく少女を解放したネウロは、いつもの表情に戻り、ベッドの上で呆然としたままの弥子に語りかけた。

「ヤコ、貴様にはまだ、やってもらわねばならんことがあるのだが…」
「…?」

 ベッドに座り込んだまま、これまで見たことのない眼差しで自分を見た少女に、かつてない気持ちを抱いた魔人だったが、それはあえて捨て置いて、

「しのごの言わずに黙って来れば良い」

 否も応も言わせずに、少女の腰を抱え上げ、入ってきた窓から、足取り軽く夜空に跳び出した。

「んなっ…」

 弥子は驚きの一声をあげてしまうが、
「下手にしゃべると、舌を噛むぞ」
 ネウロに耳元で囁かれ、
(確かに…)
 口を噤む。

 目を開けていられないほどのスピードで、魔人は少女を小脇に抱えて移動し、弥子にしてみれば信じられない速さで到着した。
 見慣れた…居慣れたビルに…
 ネウロは、先程出て行った窓から事務所に入る。

 あかねが、
『お帰り!』
 と、いつもよりも大きな字で迎えてくれた。

―帰ってきちゃった。もう―

 謝るまで、ここには戻らないと思っていたのは、そのきっかけの出来事は、つい先程のことなのに……




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