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19 〜逡巡する者〜 02
まだ見舞われる感覚に慣れていない様子が…
見ていて、面白く、愉しく、好ましい…
だが何にせよ。
これ以上深みに嵌ることは躊躇われた…今は流石に。
ヤコも恐らく、同じであろうかと思われる……
「ネウロ、ホントにごめんね」
またも謝罪を口にし、咎めれば、言わずにいられないのだと言うヤコ。
今日の記憶が消え去るなど、いかな豆腐頭でも有り得無かろうが、感触を払拭し上塗れば、それで良いのだ。
今のところは。
流れに乗じたところで、これ以上はヤコも、怖いと宣うに決まっているからな。
…貴様の意志は、尊重してやろう。
……尊重…なぞ……
そのようなことばを、この我が輩が用いるようになるとは…
知らず笑いがこみ上げる。
きょとんと見上げるヤコ。
幼く、無知そのものの顔。
だが、途方もなく美味なるものを秘めた……
思えば、欲しくなる。
知ってしまうのは、案の定厄介であった。
…堪え性がなくなるばかりなのだから…
だからといって堪える気は、ないのであるが。
今度は、軽く啄むように。
「ん」
嬉しそうに頬を染めるヤコ…
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