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13 〜問う者〜 02

 今、何故ヤコは泣くのであろうか…?



「おかしい…」
 我が輩は呻く。
 見上げるヤコ。


 おかしいではないか。
 妙、ではないか…


 こうすることは…

 ……ヤコの希んでいたことであった筈……


 他の男に無理に触れられた感触を、記憶を、払拭したかったのであろう…
 他ならぬ我が輩による、同じ行為…で…



 …我が輩が口付けることを、待っていたのだろう…?



「貴様は…」
 我が輩は柄にもなく躊躇してしまう。
 さぞ自惚れの強かろう、言葉に…





「…貴様は、泣くのではなく…笑うべき」
「あんたの知識にはなかったんだろうけど…」

 我が輩の言葉は遮られた。
 ヤコは、我が輩を見上げる視線を強める。


「…何をだ」

 ああ、わからんな。
 我が輩が何を知らぬというのか、ことばを待つ。


 ヤコは、ゆるゆると囁いた…


「女の子はね
 …人間、は…

 ……嬉しくたって

 泣くんだよ……」


「……」
 いわゆる『嬉し泣き』…

 …その単語は知っていた。
 知識としては、当然、頭の中にあった…


 なんと厄介で判り辛い…


 ああ…だが…





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