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01 〜零す者〜 01
…結局あたしは、ここに逃げ込んじゃうのか……
匪口さんを、ネウロを振り切って…あたしは事務所に駆け込んだ。
あかねちゃんが、びっくりしたように硬直して、それからペンを持ったけど、あたしはカバンをテーブルに投げ出して、給湯室に行く。
ごめんね、あかねちゃん。
今のあたしの顔を、誰にも見られたくないの…
ヤカンに水を入れて、火にかける。
コンロの火を見つめながら、自然に指が唇にいって…
何の前触れもなく、涙が落ちた。
……あたしは、こんなに涙腺が弱かったの?
今日はいつもにも増して、めまぐるしい日だった。
匪口さんに会って。
同じ方向だからと一緒に歩いて。
何だか会話がヘンになってきて。
いきなりあたしがあたしの気持ちに気付いたと思ったら…
いきなり、匪口さんの気持ちを気付かされて…
またいきなり、キスされて…
それを…ネウロに見られてた…
…見られた。
……ネウロに見られた。
今あたしは、すごく混乱してるけど、ハッキリしてるのは…
……ネウロに見られちゃったことが、あたしには一番ショックなんだ……
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