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〜助手にさざ波を…〜 16
笑いが堪えられぬのは…
ヤコを想う者がいるのは構わぬとして…
ヤコを想っていたことを承知していたとして…
その男に、いとも容易く我が輩の躊躇う域に踏み込まれ…
その勇気を、度胸を、我が輩は恐らく、我が輩なりに称えているのだ……
従って、匪口に言ったことは紛うことなき我が輩の本音だ。
…だがしかし…
それを遥かに凌駕して憚らない、感情を。
忌々しさを…
憤りを…
ともすれば、殺してやりたいと思える程の感情を……
精神も肉体も遥かに脆弱な生き物に…
呆気なく『魔人』の我が輩に圧倒され、黙り込むしかない、『人間』の男、に……
匪口、よ……
ヤコに触れたのか貴様は……
人間の分際で
モヤシの分際で
魔人たる我が輩の奴隷に…
所有物に…
……我が輩のものに……
煽ったのは間違いなくヤコであろう…
……ならば。
貴様が、極々短いことばでヤコに全て悟らせたように…
……我が輩も、ひとことで貴様の負けを悟らせてやろう……
匪口に伝わろうが伝わるまいが、一向に構わん。
我が輩は匪口を見据える。
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