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〜助手にさざ波を…〜 15
状況は似ているが、決定的に違うのは……
「つくづく、若い人は大胆なことをなさるのですね。
あの先生に、あれほど情熱的に迫られるなど、僕は実に驚かされましたよ…」
そこで匪口は、違和感を感じたか、何か気付いたらしい。
「あんた…」
匪口から絞り出された声に追い被せ、我が輩は続ける。
疑問も批判も、我が輩は聞く耳を持たん。
「僕は感服しているんですよ、匪口刑事。
先生の素晴らしいところを、きちんと見て下さっていたという事実に、その目に、
…そのこころに…」
匪口はまた、何も言わなくなる。
それで、良い。
「…そして、その行動力にはこころから感銘をうけました…」
我が輩の発するものを察知し身構えるのは、流石、刑事の末席を担う者なのであろうか。
何かを悟ったような表情を浮かべるが、何を悟ろうが何も悟るまいが、我が輩の知ったことではない……
「……まことに若いひととは、油断ならない。
本当に大胆なことをなさる」
ことばを、切る。
何故か、笑い声を抑えることが出来ないのが可笑しい……
匪口が生唾を飲み込むのがわかる。
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