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〜思わぬ展開〜 10
魔人は、笑った少女に、高い声音に心中で驚き、少女の可笑しそうな表情を眺め、そして…
―言葉が決まった―
いきなり、膝を少女の顎にすべりこませ、そのまま重力無視で天井に引き込んだ。
「ぐふッ!」
唐突の暴挙だが、この体勢には覚えがある。
―あれは…―
「…忘れて良いとは言った覚えがなかったのだが、ヤコよ…
その貧相な脳に相応しく、既に忘れ去っているというのならば、何度でも言ってやろう。よく聞くがいい」
このような状況や体勢でなかったなら、脳髄にさえ染み渡り酔わせるような、低く響く麗しい声で、ネウロは囁く。
だが、ことばを切り、少々の間の後、
「貴様は、我が輩の奴隷だ」
言い放たれたひとことに、弥子は苦しげに睨み付け、泣きそうな表情も滲ませた。
―こんなとこまできて、まだそんなこと!―
至極当然の反応に魔人は瞳を細め、微笑む。
「…フム、従順ではないな。我が輩の言っている意味が解らないとみえる。
わからないなら、言い方をかえてやろうか」
ネウロは、笑みに色を添え、低く低く囁いた……
「ヤコよ…
貴様は我が輩のものだ」
聞くなり、弥子の瞳がいっぱいに見開かれる。
「あ……」
「…出逢ってからこれまで、今現在、そしてこれからも、我が輩だけのものだ」
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