main storyT 〜助手にさざ波を…〜 09 眺め聴いているのも潮時であろう。 すると…… 立ち上がろうとする我が輩の動きを止める、ヤコの『声』 ―じゃあ、あたしは、どれだけネウロのことを解ってあげていられてるの……?― 解る…? 我が輩を理解する…だと…? なんと傲慢で身の程知らずな…… ああ…だが、そうなのだ。 我が輩を理解しようとするのは… 我が輩を理解して良いのは… それを許せるのは…… 早く、ヤコの元へ向かわねばならぬのに…… ―ネウロはひとりだ…… 孤独な魔人、なんだ……― またも流れ込むヤコの『声』に阻まれる。 思考もまた、一瞬止まる。 ……ヤコとは、どこまでも愚かしい女だ…… 我が輩を想い涙を零すとは… こんなときに… 我が輩はひとりを厭わぬ。 我が輩は孤独を恐れぬ。 だが… ……我が輩のどこがひとりなのだ…… 居ても立ってもいられないとは、なるほど、こういった面持ちか…… 異様な雰囲気が増したことも相俟って、今すぐに、直ちに、すぐ階下まで帰ってきているヤコの元に向かわねば。 早く…匪口からヤコを引き離してしまわねば…… [*前P][次P#] |