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〜助手にさざ波を…〜 08
『お前、全然普通なんかじゃないじゃん。
普通じゃないヤツと一緒にいられるのは、やっぱ普通じゃないんだよ。そーだろ?』
人の心を読めぬ我が輩でも、表情から、匪口の口惜しさが解る気がされる。
だが…さもあろう。
我が輩とて、はじめのうちはヤコをただの愚かな単細胞だと思っていたのだ。
しかし、そうではない。
ヤコは様々な意味合いで、一筋縄にはいかない、『普通』とは逸脱した存在であったのだ。
恐らくそれに最も驚かされたのが、他ならぬ我が輩なのだから…
『お前が普通の娘だったら…』
『…匪口さんは…ネウロのことわかってないから…』
だがヤコは、それでもなお何も気付けず、逆に腹立たしさを覚えている様子。
匪口の言葉を遮り、追い討ちとしか思えぬことばを吐く。
我が輩は…匪口に同情を禁じ得ない…
男と共に居ながらこの我が輩を想うことは評価してやるが、ヤコが語る度、想う度に…近頃我が輩を戸惑わせる雰囲気を、知らず発してしまっているのを…凝視虫を通して感じる。
ヤコの鈍さも相俟り、このままでは思わぬ災いとなってヤコ自身に降りかかるやもしれず…
危険、だ……
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