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〜助手にさざ波を…〜 07
我が輩は、ヤコを救い、立ち直らせる…そのような思惑で貴様を傍に置いたのでは…ないのだ…
父を殺された貴様に同情したのでは決してない。
ましてや、貴様のこころに穿たれた穴など…思いよりもしない。
たとえ知っても……当時の我が輩にはどうでも良いこと。
人間とは、喪われ過ぎ去ったものへの悲哀、追憶…そういったものに捕らわれ停滞する愚かさを持つが…
また同時に、それ故に復讐などの『謎』を構築もし得る生物なのだと、我が輩が理解し把握した時には貴様は既に…
…貴様のこころに穿たれた穴は既に…我が輩が埋めていたというのか…
我が輩と離れるわけにはいかないと…我が輩と離れるのは耐えられないと想うのか……
ヤコ。
…貴様はそれを…
……匪口の言葉をきっかけにし、気付くのか……
…ヤコよ、貴様は…
……つくづく罪深い女であるのだな……
『桂木は、何でそんなに普通じゃないんだよ…』
一向に想いが通じぬ哀れな男の愚かな呟き。
『私は、全然普通だよ』
己をまるで知らず、罪深さも知らず、答えるヤコ……
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