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〜助手にさざ波を…〜 05
匪口は何のつもりで、問いを投じたのであろうか……
問いかけの言葉は続き…
匪口が『利用』を口にすると…ヤコの形相が一瞬歪む。
利用……
我々をどう見ようが、見る者の勝手であろう。
そう見えるというのならば、その者にとって、その逆が正義であるというだけだ。
…我が輩の思惑など…知って欲しいとも思わん。
尤も、匪口と我々…ヤコ…の関わりからいって、本気で言っているかは、甚だ怪しいのであるが、どうでも良いこと。
ヤコにそう思われては厄介であるが、有り得なかろう。
だが…
『…確かに…
理由がなかったら、一緒にいる必要はないんだね…』
ヤコが呟く。
かすれた声であるのは…やはりヤコも、明確な『理由』なぞ本来必要ないと思っている…思っていたいからなのか。
直後、ヤコの『声』が…本音が…声よりもひときわ大きく高く…響く……
……そんなのは嫌だという主旨の叫びが、繰り返される……
それは、どこまでも矛盾した幼稚な思考に過ぎない。
…しかし…
そのことばの中にこそ、ヤコの希みが、想いが、潜んでいるのではなかろうか……?
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