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〜思わぬ展開〜 09
しばし流れる、沈黙。
破ったのは、階下の母の声だった。
「弥子ー?何かすっごい音したけど、どうしたのー?」
弥子は悲鳴をあげたくなるのをやっと堪え、
―もし今あたしがヘンな声を上げて…
もし今お母さんが部屋にきたら…?―
考えを巡らせる…
―何をどう言い繕ったって、これはもう、あたしが、夜、部屋に男を引っぱり込んでるようにしか見えないよね…
いやいやホントはコイツが勝手にあたしの部屋に入り込んでるだけだけどさ…
ともかく、
コイツはお母さんも知ってる『助手』なわけで…
…今、見つかったら…?
…あたしは間違いなく探偵業を禁止されて、事務所に出入り出来なくなる…
あたしが『探偵』の仕事出来なくなったら…
コイツは表立って動けないから、謎にありつけなくなって、唯一の食にすら……―
そこまで考えが至って、ハタと気付いた。
―あたしは、こんな時まで…この化け物の心配してるの?―
そんな自分が何だかおかしくて、
「あぁ…もう」
小さく笑い、
「何でもないよお母さん!
ちょっと寝ぼけて壁にぶつかっただけー!!」
ドアに向かって叫んだ。
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