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〜助手にさざ波を…〜 01
我が輩の脳にヤコの『声』が響いてくるとき、ヤコは……
ヤコの帰りがいつもより少々遅い。
大方、大量の生ゴミの調達でもしているのであろう。
学校の友達とやらと、遊んでいるのやもしれぬ。
今は『謎』の気配もなければ差し迫った事態もない。多少の遅さは気にならないものだ。
ヤコは何をしようと何処にいようと、必ずここに帰ってくるのだから…
我が輩も随分、優しくなったものであるが……
戯れに我が事務所のHPの更新作業を我が輩はしていたのだが、不意に、ヤコの声が流れてきた…ように思えた。
ビルのエレベーターが動く音も、近くにヤコの気配もないので、ヤコが帰ってきたのではない。
ではヤコが今、我が輩のことを考えているのであろう。
……稀に、そういった不可思議な事象がある……
ひとのこころなぞ読めぬ我が輩であるが、ヤコのこころ…我が輩への何がしかの気持ち…に限っては、稀に脳に流れ込み、読み取れる時があるのだ。
たとえ互いの物理的な距離が離れていようと。
傍にいないヤコが今、我が輩の何を考えているのか…
我が輩は集中して、『声』を拾う。
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