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〜続・結也の短い夢〜 11
コイツ…
笑顔…いかにも無害そうな顔しやがりながら、ワザと物騒な気配を俺がカンタンに察することが出来るように、放ってやがる……
正体や、素の喋り方を知ってるハズの俺に、馬鹿丁寧な助手口調を使ってるのも、同じことだ……
コイツの……
桂木への気持ちは、直接的なことばは何一つ使わない分、逆にホンモノだ…間違いなく……
あぁ…そういえば、桂木もそんなんだったな。
『好き』なんてひとことも言ってないもんな。
似た者同士なのかよ…結局。
なら当然…
あの娘のはじめてのことを、鼻先から奪ってった俺を、許しやしねーよな……
目を眇めたネウロは、
「……まことに若いひととは、油断ならない。
本当に大胆なことをなさる」
呟いて、ことばを切る。
同時に目を伏せるけど、喉の奥から漏れる笑い声は、やまない。
俺は思わず生唾を飲み込む。
ふと、笑い声がおさまったと思ったら、ネウロは射抜くように俺を見て、囁く。
「…この僕を差し置いて……」
そのひとことに、俺の背筋がぞわっと、ありえないくらいに総毛立つ…
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