[携帯モード] [URL送信]

main storyT
〜続・結也の短い夢〜 06

 捕まえてしまえば、届かなかったもどかしさなんか、手の感触に紛れちまう。


 そう…か…

 届かないなら、ほんの少し、手を延ばせば良かったんだよな……

 ただそれだけのこと、だったんだ……



 そんなに大きくない俺の手のひらにすら、すっぽり包まれちまった…小さな手。
 思ったより高くない、手の温度。
 桂木の、温もり…

 愕いてるからか、急に手のひらが湿ってくる。


 …クラクラする…


「………」
 桂木は声も出ないみたいだ。

 いきなりの展開で、怯えてるんだろう。

 だけど、俺を真っ直ぐ見据えてくる。
 探偵のクセに…ひとを疑いもしない真っ直ぐでキレイな瞳だ……



 あぁ…

 だけど…

 ちくしょう…



 手を、離す。

 あからさまにホッとしたような、桂木の顔…


 ……ちくしょう…!


 耐えきれなくて、桂木の頬を両手で挟む。

「!……ひぐ…」



 なぁ…桂木……

 …俺は…桂木のように、真っ直ぐお前を見つめられてるか……?


 …と、

 何か…
 靴音…が、聞こえる。

 表を誰かが歩ってるだけだ…


 そんなことが気になるのか、俺は……



.

[*前P][次P#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!