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〜続・結也の短い夢〜 05
入り込む隙なんか、最初からこれっぽっちもなかったのに、この娘の不思議なトコに惹き込まれちまった、俺………
…もしかして俺って、ものすごく可哀想なヤツなのか…?
口惜しい。
…なんか無茶苦茶口惜しい…
出逢ったときが遅かったってだけで、手が届かないなんて…
もう一度、笛吹さんの言葉を心の中で繰り返す。
『…それでも、望むものがあるのなら、行動に起こさないと手には入らない…』
筑紫さんの言葉も思い出す。
あの言葉の前に筑紫さん、何か言ってたけど…何だったっけ…思い出せない。
だけどそーだよ。
欲しいなら、そんな足踏みなんてしてるわけにはいかねーんだ俺。
今頃そう思うのは、遅過ぎなのかもだけど…
俺達はいつのまにか『桂木の居場所』のビルに、もうとっくに着いてて立ち止まってたことに、今更ながら気付いた。
俺は桂木の手を掴んで、建物と建物の間の狭い路地に入ってった。
「………!」
桂木は愕きすぎて、引きずられるように歩く。
少し道から外れたところで立ち止まる。
掴んだ手は、離さないまま……
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