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〜桂木弥子の黄昏〜 06

 あぁ…だけど……

 じゃあ、あたしは、どれだけネウロのことを解ってあげていられてるの……?


 一生癒されなくても、ちっとも不思議じゃないキズを、こんな短い間に癒やしてもらって助けられて……

 あたしは、それにふさわしい探偵役ができてるの…?



 あたしは……


 ネウロの何を…

 何をどれだけ…

 どれだけきちんと……


 わかってあげられてる…?



 ぐるぐるする考えの中、あたしは唐突に理解してしまう。





 ……ああ……


 ネウロはひとりだ……

 孤独な魔人、なんだ……




 そう、思ったら、喉の奥が苦くなってくる。
 こみ上げてくる何かが、苦しい……


 いけない……いけない……

 慌てて目を閉じるけど……



 こぼれる涙は、もう止められなかった……


「桂木……」

 困りきって震えてる匪口さんの声。



 ごめんなさい
 ごめんなさい
 ごめんなさい……



 だけど…


 あんなことをあたしに言わせて…

 こんなことを考えさせた匪口さんだって…悪いんだ……




 ……もう、とっくに、事務所のあるビルには着いていた……



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[*前P]

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