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〜特例刑事の午後〜 05
俺は正式な文章なんて苦手なんだっての。
前も辞表出そうとして、時間かけて必死こいて書いてたし。
…すぐに笛吹さんに握り潰されちまったケドな。
筑紫さんは言い付けを律儀に守って、黙ーって部屋の片隅に直立不動してる。
あんなにでかいのに、集中してると居るんだか居ないんだかわかんねー。気配を感じない。プロのSPみたい。
あ、刑事か。
静かなのは有り難いっちゃあ有り難いね。
頭抱えて唸りながら、ものすごく時間をかけて、どうにか書き終えた。
書いたものを渡す。ざっと目を通した筑紫さんは、失笑みたいなヘンな笑みをちょっと浮かべた。
「…ギリギリ大丈夫でしょう。…でも、もう少し字を丁寧に書かないと」
「わぁかってるよ。気にしてんだから、そこは見逃してよ」
筑紫さんはまた笑った。
普段無口で無表情の人が笑うのって、なんだかいいなぁ。
取り上げたノーパソを俺に返してくれながら、
「…自分は正直、笛吹さんの意見には賛同しかねます…」
「うん?」
「匪口、君が自分の行動に責任をもてるなら、君のしたいようにすればいいと、自分は思います」
…珍しく、よく喋るなぁ筑紫さん…
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