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〜無気力刑事の午後〜 05
あの娘の頭から手を離す時、わざとゆっくり触れながら、腕を下ろしていった、助手…
触れられても、非難の素振りを、何ひとつ見せなかった、あの娘…
…あの助手が、まだ子供のあの娘にどーこーということはないのは、話してて雰囲気でわかるが、それに近い関係だろうってのは、あの光景を見ちまえば簡単に想像出来る。
それを引き剥がそーなんて思った日には、相当な労力を覚悟しなけりゃならねーんだろーな……
え…?
何で俺は弥子ちゃんと助手のことを考えてんだ…?
ふと我にかえった俺は、隣の匪口を見る。
匪口は、コーヒーの缶を口にあてがったまま、ブツブツ言いながら自分の世界。
俺は思う。
……匪口には出来そうもねーな……
何って、万一匪口の想う相手が弥子ちゃんだとして、コイツが、あの助手から弥子ちゃんを引き離すこと、だ。
コイツの相手が誰だか知らねーが、まぁ、健闘を祈ろう。
俺は立ち上がる。
「んじゃ俺は行くよ。ま、頑張んな。幸運を祈るわ。
…コーヒーありがとな」
「笹塚さん、恩にきます…」
俺は肩をすくめる。
「…たいしたことは、言ってねーから、俺」
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