main storyT
〜以上…未満〜 10
「…そうだ…!
あ…あと…あとだよっ!
いくらあたしがネウロ的に気に入らないコト言ったからって…さ…
笹塚さんに隠れて電撃かましたり、手に生やしたトゲで暗殺紛いのことするのは、あ…あんまりだと…思い…ます……」
額に触れる唇を避けるように俯きつつ、しどろもどろに紡がれる弥子の言葉に耳を傾けるネウロは…
今のこの少女に対する感情は何であろうかと考えていた……
その声に、非難や苦言の色が濃かろうと、その実、往来で触れられているが故の動揺が滲み出ている…
無意識に声を聞き漏らすまいとする…
無性に、声の主に更に触れたくなる…
―もしも、ここが人々の行き交う往来でなかったなら、我が輩は…―
魔人はおのれの胸に去来した思いに、ひとり笑い、
「…貴様は、いたぶり甲斐があるからな…」
囁く。
「あっ……そぉ…」
あまりに魔人らしい答えに、弥子はそれ以上、責める気も問う気も消え失せてしまう。
「…とにかく、早く行こ」
一言、促す。
「…抱き上げてお連れしなくても良ろしいのですか?先生」
唐突の助手口調の言葉に、弥子はネウロを見上げ、
「お気持ちだけで結構です!!」
精一杯、強がってみせたのだった………
[*前P]
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