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〜以上…未満〜 05

「…そうだ先生!!
 何ならご依頼人のお宅まで、僕が抱き上げてお連れ申し上げてもよろしいですよ?
 何しろ先生は病み上がりでいらっしゃいますから!」
 突如思いついたことを、『助手』は口走る。
 冗談とも本気ともつかない、だが楽しそうな声音のその発言に他の2人は愕き、

「オイオイ、そりゃちょっとやりすぎ…」
 …と、笹塚は突っ込み、
「この恥知らず…!
 うわっ!!
 …いやいや、有り難いけど、謹んでお断り申し上げます、ハイ…」
 叫んだ筈の少女は、何故か小さく悲鳴をあげた。次いで赤面し、手のひらを、わたわたとかざすように振る。


 慌ただしい娘だな…と、笹塚は思った。


「…勿論、冗談ですがね」
 助手は、どこまでも飄々とした涼しい笑顔。

「………」
 笹塚は絶句し、
「……ぷ」
 一瞬の沈黙の後、少女はころころと笑い転げる……






―……参ったな…―





「……それでは笹塚刑事、僕達はこれで失礼させて頂きます。ご依頼人がお待ちですので…」

 助手は言う。

 いつものように探偵の少女の頭に手を置いている…のか、掴み上げているのか判断しかねる格好で。



 以前、この助手と密かに対立した時は、少女への扱いがあまりにも、言葉とそぐわなかった故の違和感から、嫌悪感を催したものだったが…


 助手の言動そのものに、さして変わりはない筈…であるのに…何かが少しばかり変わったような印象を、笹塚は抱いた。

 …抱かざるを、得なかった…








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