main storyT
〜以上…未満〜 01
一抹の疑問と不安を数日前から抱え、刑事笹塚衛士は久方の休みに街に出た。
手には、どこぞの土産物らしき袋をぶら下げている。
同僚に、自分にはまるで不要な、甘い菓子を土産に貰ったのは数日前の話。
処置に困り、すぐさま思い浮かべたのは、まだ幼さの残る面輪ながら、今や全国にその名を轟かす、女子高生名探偵の少女の顔だった…
何たる幸運か、歩を進める先に、少女の姿を見つけた。もちろん、例の助手は一緒であったが。
「弥子ちゃん」
迷わず声をかける笹塚。
「こんにちは笹塚刑事、お久しぶりですね」
「あっ笹塚さん!?お久しぶりです〜!!」
2人は同時に声を発した。
助手の方が若干早かったことに、笹塚は意味なく不満に思ったが、
「会えて良かった。ちょっと弥子ちゃんに用事があってさ」
あくまで助手は視野に入れずに、弥子に話しかける。
…何故なら、2人の姿を認めた最初から、助手が探偵の頭を掴んで歩いていた光景が、面白く思える筈もなかったからで、ある……
「何でしょう?笹塚刑事」
「なーに?どうしたんですか?笹塚さん?」
…2人はまた、ほぼ同時に声を出す。
[次P#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!