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〜もどかしさ〜 09

 確かにごわつく紙が当たるのは多少痛いが、他にされていることといえば、脚に座らされ、『喰う』一歩手前の行為、そして腕による固い拘束……


 本当に、近頃のネウロはわからないと、弥子はつくづく思うしかない。
 わからないといえば、ここまで密着することを、ごく自然に受け入れられる自分の気持ちの変化も、そうではあるが……

 つい先日までは、このような在り方など、夢にも想像しなかったのであるから…長いこと一緒にいながら。



 昨日は、ネウロに『喰われても』いい…などと思った記憶のある弥子だが、今はそうではない。恥ずかしく、怖い気持ちが先に立つ。
 このような状態が続くだけならば、心地良いかもしれないが…ネウロが『男』である以上、その保証は皆無であろう。


「………」
 不意に魔人は顔を上げた。

 独特の髪留めが微細な動きをし、弥子も何かを感じるので、謎の気配を察知したのだろう。


 弥子を抱き下ろし、
「寝ていろ」
 …とだけ言い残し、足早に事務所をあとにした。


「…………」
―気を遣ってくれるのは、いいんだけどさ……―


 取り残された事務所の『主』は、呆然とするのみ……





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