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〜もどかしさ〜 08

 …そのときの…

 ただでさえ高い声の語尾を更に上げ我が輩を呼ぶ、声が…口調が…表情が……

 昨日から微かな媚態を帯びている…自覚もまるでなく…

 それは涙と同等に……非常に厄介ではないか……―


 昨日、弥子に呼ばれ語りかけられる度に返答に詰まった自分を少々訝しんでいたものだが、漸く訳を知る。

―…実に、昨今は様々なことを思い知らされる…―

 魔人は想いつつも、一片も表情には表さずに、いきなり新聞紙ごと少女を抱きしめた。



 弥子が何を言わんとして魔人すら戸惑わす口調で呼びかけたのか…短いことばから滲み出していた、何かを乞い求める響き…それは決して、魔人の体を案じる気持ちだけではなかった…


 それが何なのかまでは、魔人はおろか、ことばを発した少女当人ですら、判りはしない……


「ネウロ…新聞が顔にガサガサ当たって痛いんですけど…」

 腕ごとからだを抱き込まれている為、顔に当たる新聞紙を除けることが出来ない弥子は、非難の意を滲ませて訴える。


「この程度のお仕置きで済んでいるのだから、しのごの言わんことだ…」
「なにそれ」

―これが、お仕置きなの…?
 何に対して…?―




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あきゅろす。
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