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〜思わぬ展開〜 03

「それにあんた、確か経験ないみたいなこと言ってなかったっけ?」
 魔人の瞳がすぅっと細まる。

―あ、やば―

 思った瞬間、弥子は壁際に突き飛ばされ、ハサミやら定規やらで壁に縫い付けられてしまった。
 魔力が働いているのか、壁に刺さった文房具は引き抜けず、体を動かせない。
 魔人は近付いて、頭をわしづかみにする。

「魔人にとって、そのようなことは、恥でも何でもない。全く下らぬ価値基準だ」
「…なら、それで構わないじゃない」

―…でも吾代さんをぶっ飛ばしたよね…?―

「だが、それにより嘲笑されかねないのなら、話は別だ」
「そ…そんなもんなの?」
「少なくとも我が輩はそうだ。
 …だからヤコよ…」
「…うわ近付くな!
 ダメ!却下!
 あたしも何も知らないんだから!
 あんたの役に立てるとは思えないし立ちたくもない!」
 叫んだ後、俯いて赤くなる。

「…も少し雰囲気違ってたら、そー思わないかもなのに…」
 呟く。消え入りそうにたどたどしく…真剣に。

 弥子は普通の少女…夢見る乙女なのだ。

 未来にあるはずの『はじめてのこと』に、漠然とした何かを期待していても、不思議はなければ罪もない……




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あきゅろす。
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