main storyT
〜病める少女〜 03
それは、いつもと変わらない口調の、ネウロの言葉だったけど。
「あ…あぁ…
うん…はい、だいぶ良くなりました…」
何故かあたしは、言葉遣いがかしこまってしまう。
ネウロに返事はなくて、そのかわりに…なのかな。ネウロはあたしの前髪を梳く。何度か梳いて、額に曲げた指をあてる。
まるで熱をみるみたいに。
…あれ、なんか、夢にも、こんなんと似たようなことが…
それにさっきのは、一瞬だったけど、お姫様抱っこだったよなぁ…
…なんて考えてたら、恥ずかしくなってきちゃった…
そういえば…
ネウロはいつ、どうしてこの部屋に来たんだろ。何の連絡も出来なかったのに…
「…ネウロ、どうしてここにいるの?」
率直に、あたしは訊いた。
「…………」
…どうして、黙ってるの…?
「いちおく……」
……はい……?
「一億と貴様の平熱で、限界…か…」
……何ワケのわからないコト言ってんでしょうか、この魔人様…?
「ヤコ、もう風邪なぞひくな。
…厄介でかなわん」
ネウロは、そうは言うけどさ…
少しためらいがちな言葉に、あたしは、微妙なニュアンスを感じたんだ。
厄介…って…
「あ、うん…ごめんねネウロ、めいわ……」
ひとまず口にしようとした謝罪の言葉は…
唇にあてられたネウロの中指で制されてしまった。
「謝る必要など、ない…」
[*前P][次P#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!